弥生よ、弥生

 いつの間にか3月も下旬を迎えました。今月も先月同様、ボクは公私ともに忙しく過ごしておりました。本業の仕事もさることながら、予期せぬ高齢の両親への看護等が立て込んでしまって、このブログの方もなかなか記事を書くことができませんでした。ボクはお絵描きをしたい気持ちこそ常に強く抱いているのですが、こういう物事が立て込んでいるときにはその失われた時間を埋め合わせしなければという強迫観念的な心の作用が働いてしまうこともわかっています。焦ったところで程よい絵は描けないものと理解しています。ですからボクは、この忙しい時間と日々が少しずつ過ぎ去ってゆくのを待つことにして日々のライフワークに取り組んでおりました。

 そんな時間の中で、やはりボクはお絵描きをしたいと思いつつも、時折水彩画の筆を水に濡らして好きな海洋生物なんぞを描き始めてみれば、その描き始めた瞬間に「こいつはどうにも納得のいく絵にはならない」と感じ取って再び穂先を濡らしてしまったその絵筆をおもむろに置いてしまったりするのでした。限られた時間内でお絵描きしようと思ってもうまくいかないものです。絵筆を置きながら「絵を描く動機」などについて、ふと考えている自分がいるのでした。

 ボクにとって絵を描くとは?

 ボクにとって「絵を描く=自分を再確認する作業」ということなのでしょう。ですから、どこからともなく頭の中に降りてきた図柄(次に描きたい絵の構図など)は、ボクの気持ちの中のどこかで「こいつは何とか仕上げて形にしないとな。」という自分の声を感じながら、さぁ仕上げてしまうぞと挑む気持ちで紙面に向かうのです。それがなんとも心地よいのです。ボクにとってはこの絵を描く作業こそがワクワクする時間であって、心地よく、脳内に快楽物質が出ている状態なのだと思います。結果、その絵を描いている時の状況や心象風景がそのまま描いた絵に現れている、そんな気がします。

 観念的なお話になってきたので、今回はこのくらいにしましょう。時間は相変わらず同じ歩みの速さで進み、屋外の風景を眺めてみれば、そろそろ桜も咲き始めそうです。

 三月は弥生、そして四月は卯月。卯月は新しい年度の始まり、ようやく本業の仕事も落ち着きそうなのでボクは懲りずにまた鉛筆画を描き始めています。描き始めた鉛筆画はこれまでボクが描いたことのなかった人物画、になりそうです。初めて人物をモチーフにした絵になりますので、なるべく丁寧に制作中です。お絵描きは時間をかけてもいいんです。春、みなさんも自分のペースでお絵描きを楽しんでみてはいかがですか?

2024年3月30日 こけのきもち

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