前回は「版画に似た表現を試したい」という記事を書かせていただきました。本格的な版画の道具をそろえるのはむつかしいので透明水彩と鉛筆またミリペンを組み合わてそれっぽい表現ができるか、という試みです。実際に描いてみた絵が下の絵になります。タイトルは「咲いたよ、咲いた」、F3サイズの水彩紙(ウィンザー&ニュートンのコットマン細目)に描いた絵です。
版画といってもエッチングのような表現を求めました。いかがでしょうか。0.05mmや0.03mmのミリペンも使用し、細いひっかき傷のような線もたくさん描いてみました。遠目から見れば銅版画のような表現ができたのではないか、と思っています。さてもう一枚、タイトルは「笛を吹く人」、こちらもF3サイズ、紙も同じくウィンザー&ニュートンのコットマン細目の水彩紙です。
一枚目の「咲いたよ、咲いた」に比べると透明水彩の彩度も高めの絵になっていますのでまた違った面白さが出てきたように思います。
さて二枚の絵、遊び半分に描いてみたのですがいかがでしょうか。透明水彩には透明水彩の良さ、またペン画にはペン画の良さがあることも承知しているのですが、これはこれで面白い表現ができたと思っています。それぞれどちらも額に入れて飾ってみたときに違和感がない形になっていれば描いた絵として一つ形をなしているのではないか、とボクは思うのです。
それともう一つ、今回の試みはボクの中で「描いていて楽しい」という気持ちを強く持てたことです。うまい下手は別として「とにかくこんなふうに描いてみたらどうなるのだろう、やってみたい」という衝動が強かったことです。誰にも邪魔されない自分の時間の中で、やってみたいことに没頭する時間を持てることは幸せなこと。ここしばらくはこんなテイストの絵をたくさんかいてみたいと考えている、そんな2024年の梅雨の終わりを迎える時期の夜です。
2024年7月16日 こけのきもち