先日、久しぶりに美術館に行ってきました。訪れたのは神奈川県茅ケ崎市にある茅ヶ崎市美術館です。やっていたのは特別展『ちいさな版画のやりとり』、副題が「斎藤昌三コレクションの蔵書票と榛(はん)の会の年賀状」、こちらの美術館は地味ながらも版画のコレクションが多いのです。
茅ヶ崎市美術館は小さな美術館ですが展示室は3つ有ります。この「ちいさな版画のやりとり」は展示室1で行われていました。蔵書票というのは本の所有者を示すために書物の見返しに貼り付ける小さな紙のことなのだそう。隠れた愛好家たちがいらっしゃって、自身のものを製作するだけでなく、交換したり集めたりして楽しまれているとのこと。一点一点はとてもちいさな版画なのですが、展示されている作品はかなりの数でした。
戦後間もないころにつくられた作品なども多く、それらはデザインも素敵だったのですが経年劣化した紙の質感もまた味がありましたね。一つ一つ、どの作品も魂が込められている、そんな印象でした。また販売目的の絵画などとは異なり、自分が納得のいく、それも自由でその作家さんの嗜好がそのまま現れており、もう何十年もたった蔵書票からはどれもその作家さんがまだ目の前にいて、その人となりが伝わってくるようでした。
地下1階の第2展示室、第3展示室ではそれぞれイエアトリエこども造形教室の生徒さんたちの作品展示、また地元の写真グループの方々の富士山写真の展示が行われていました。ゆっくり一つ一つの作品を楽しませていただきましたよ。
あらためて思うことは「アートっていいな」と、その一言に尽きますね。穏やかでとても充実した楽しい時間を過ごさせていただきました。
帰り道、もう白梅が咲き始めていることに気づきました。季節は着実に春に向かっているんですね。
この展示は来月2月25日まで開催されているようです。茅ヶ崎市美術館、地方の小さな美術館ですが、興味のある方は足を運んでみられてはいかがでしょうか。
2024年1月22日 こけのきもち